ベンチャーの組織が壊れるのは通過儀礼ではない
百貨店の閉店が止まらない。
東芝の凋落、タカタの倒産、
少し思い返せばJALの破綻なんてのもあった。
多くの日本人が「大手企業＝安定」の
公式に疑問を持ち始め
銀行の就職人気が落ち始めた2018年
いやいや、今さらですか？
時代はベンチャー企業だ。
きらびやかなオフィス
時代を創る新サービス・新商品
そして社長たちの熱い想いを
メディアがこぞって取り上げている。
「俺は海賊王になる」
と株主や社員を
ワクワクさせる言葉を発し
リーダシップをとる一方
実は（予想通り？）
内部がガタガタなことが多い。
社員インタビューをすると
剣士が足りないからって
5刀流でいけとかバカにしているのか
と剣士が息巻いていたり
お前らどんだけ食うんだ
料理、マジ、しんどい
とコックが嘆いていたり
ぶっちゃけ私の歌を誰も聴いてないですよね
地上で音楽家として生きようかな
私、死んでますけど
と目的を見失っている音楽家兼剣士がいたりする。
多くのベンチャー企業は
大体こんな感じだ。
愚痴を吐露したところで
未来の海賊王の仲間がよ・・・
情けねェ顔するんじゃねェ！
「ベンチャー企業」
と刻印された印籠を振りかざすが如く
キャプテンはクルーにたいして
非情な鼓舞を打ち続けるのである。
結果、
組織の改編は日常茶飯事。
離職率は高いし
いつでも会社は
コンディション整備に
相当時間を使っている。
「組織が壊れるのは通過儀礼だから」
そんな声が経営者から聞こえてくるが、
それは違う。
招いた原因はいつだって経営だ。
通過儀礼は未然に防げる。
1.人事機能診断
2.ベンチャー企業の組織が崩れやすい理由
3.組織を崩さないための処方箋
という構成で簡単にまとめてみた。
人事機能診断
まず、以下のチェックリストを見て欲しい。
いくつ当てはまるだろうか。
- 人事グループ＝ほぼ採用機能
- 人事権は経営者が掌握（人事にない）
- 昇格人事の目的が対外視点（※１）
- 数年先の組織を考えた採用をしていない
- マネージャーへの教育体制がない
- マネジメントの基本は行動マネジメント（※２）
- 仕組み・体制だけ作って、やりかたは社員任せ
- 業務レポートラインが定められていない
- 議事録などの情報共有方法が整備されていない
（※１）
例えば、育っていない若手・女性を“無理に”抜擢昇格させる。
それを会社のPRに利用するケース
（※２）
例えば、今週何回アポ行った？／CVR上げる打ち手は何？
といった行動だけを管理し、できないと詰める
その仕事の目的・重要性など、意味付けはなされない
当てはまった数が多いほど、
あなたの会社の人事は機能していない。
機能していない会社員が抱くイメージは
「血が通っていない会社」
「社員が駒になっている」
「なんのために働いているかわからない」
こんな感じになっているはずだ。
なぜベンチャー企業の組織が崩れやすいのか
先ほどの診断リストで当てはまる項目が多い会社は
経営者がマネジメント経験不足の場合が多い。
特に部長や事業部長といった経験だ。
先ほどのリストは部長たちが組織作り上
注意しているリストに近しい。（特に後半）
しかし部長経験があっても
組織崩壊は起こりえる。
なんといっても経営者は多忙だ。
人事課題に向き合ってばかりはいられない。
そうすると人事の専門を置くのがベターな解答
しかし、ベンチャー企業は
大企業以上に本部スタッフ人員数を
最小化しようとする力学が強く
人事企画不在、という体制になりやすい。
このような背景から、
多くのベンチャー企業で人事不全が起こっている。
特に、マネジメント経験の浅い経営者が
運営するベンチャー企業では、
人事が経営者のモノになりすぎることもあり
社員の成長よりも会社の成長が優先される。
そうして、
経営側と社員側の間に溝が生まれ
組織と人が崩れていくことになる。
組織を崩さないための処方箋
- 戦略的に人事を企画できる人材を採用する
- 適切に人事権を人事に委譲する
優秀な人事企画人材がいれば
上述の人事機能診断の3～9を的確に解決するはずだ。
経営者でも企画できるかもしれないが
人事が、経営と社員のハブとなることに意味がある。
なかなか経営者に人事の問題を指摘するのは難しい。
会社に人事企画がいることは非常に有効なのだ。
「そんなコストかけられない」という声も出てきそうだが、
・離職した社員を埋めるためにかけた採用コスト・リソース
・組織コンディション改善のために使った時間
そういったものが大幅に改善されるはずだ。
細かくは色々打ち手あれど
いかに早く人事企画機能を持てるかどうか。
100人企業なら必須
50人企業でも是非検討して欲しい。
ベンチャー企業が成長することを願って。
