未来予想|副業・複業の後に来る新しい働き方とは

副業・複業は広がっているのか

どのくらいの比率で
副業している人がいるのだろうか

総務省「平成29年就業構造基本調査」

総務省の調査によると、有業者に占める副業がある者の割合で平成24年から29年にかけて0.4ポイントアップの4.0%という数字が出ている。

やや上がっているように見えるが経年変化としてみるとほぼ横ばいである。ただし、右側の図のように副業を希望している人は徐々に増えている。

総務省の資料にはないが、2018年~2019年あたりで副業を解禁した企業は非常に増えた印象がある。

もともと(不思議かもしれないが)日産が2009年頃に副業を解禁、リクルートはもっと以前より副業等柔軟な働き方を認めていた。ロート製薬が2016年に副業を解禁したニュースが、「大企業も副業を認めだした」と印象づけ、働き方改革が動き出したように感じた人も多いと思う。

ベンチャー企業に副業が広がるのはもちろん、副業から疎遠な印象を与えていた金融業界でも2018年に新生銀行が副業を解禁し、2019年にはみずほフィナンシャルグループが副業解禁に向けて準備しているとニュースが広がった。
みずほFG社長「今年度から副業解禁したい」/日経ビジネス2019年6月4日記事

企業が解禁に動いているため、総務省の次回調査では、副業実施者の比率は上がっていくものと思われる。

副業で得られるキャリア感・副業では見えない未来のキャリア不安

副業のメリットは収入の増加だけではない。新しい職種、業界などで働く機会を得られることができ、スキルを上げることができるし、キャリアの広がりを作る機会にすることもできる。

一方でキャリア不安は年々増加している。



レールは乗るものではなく、自ら切り開くものであり、そして新卒入社した企業の中で切り拓くのではなく、もっと大海原の中で設計し船の舵をきっていかなければならないのだ。

キャリア不安は、捉え方は多少違えど全ての世代で共通している不安だ。正確には今の60代・50代後半までは「逃げ切れる」と考えている人も多そうだ。それが、40代・50代前半は、「逃げ切れない、そしていざとなったときどうする?転職できるのか?」という不安を抱え、20代・30代は会社に甘えることはそもそも諦めていたり求めていないが、「今、自分は市場の中で評価される人材なのか?今の仕事にキャリアは広がるのか?」という不安を抱えている。

副業によって、今は稼ぎたいという思いで動いている人も多いと思うが、未来のキャリアに繋がりそうな仕事(副業)へ早めに片足突っ込んでみることが今後主流になっていくかもしれない。

副業・複業の後に来る新しい働き方

特に現在40代あたりから増えると思われる働き方がある。

「合同会社の設立」

である。合同会社とは何なのかは後述するが、個人で戦うよりもスキルやリソースを補完し合う仲間と一緒に戦う働き方にシフトするだろうという考え方だ。

これは株式会社エンファクトリー社の「チームランサー」というサービスで、フリーランスの人を中心に一緒にプロジェクトに挑んでいこうとする働き方で、イメージはこれに近い。

筆者的には、個人(フリーランス)で仕事を取る際のハードルとして「与信」が大きいと考えている。出身企業から・知り合いの紹介といった仕事であれば個人で仕事を獲得していくこともできるだろうが、まったく所縁のない財閥企業から仕事を取ってこれるか?と言われると個人では非常に難しい。

しかし、専門集団を形成し、法人化することで(もちろんその活動状況に依存される部分は大きいが)与信が高まり、安定的に仕事を得られる可能性が高まるという仕組みだ。(ただし株式会社より合同会社の方が与信的に低く見られがちではある)

常に仕事を撮り続けることも難しいので、仲間のプロジェクトが忙しいときにはサポートし、並行して次のプロジェクトを仕込んでおくといった行動ができることも大きい。

なぜ合同会社が増えるのか

費用・運営面でメリットが大きいため合同会社が増えると考えられる。

個人事業主より節税でき、株式会社より費用が安い「合同会社(LLC)」の設立手続き・費用・メリットまとめ/freee記事より

詳細は上記リンクを参考にして頂ければと思うが

  1. 設立費用が株式会社の半分以下
  2. 役員の変更・留任時のコストが不要
  3. 決算公告の義務がなくのコストメリット
  4. 経費は株式会社と一緒で、個人事業主よりも範囲が広い
  5. 利益配分を社員間の相談で決められる(出資比率に関係ない)

等々様々な恩恵を受けることができる。特にコストメリットは大きく合同会社を選択していく人・集団は増えると考えられる。

※ちなみに、合同会社数は既に増加傾向で、2006年に制定されて約3,400社からスタートし、2015年には22,000社を超えている

まとめ:未来の働き方はきっとこうなる

合同会社と聞いて、一部の人だけだろうと感じた人もいるかもしれない。しかし、今世に出ているキャリアの形成方法からすると比較的現実的なプランだと思う。ホリエモン、キングコング西野といった知名度も活かしながらの個人ブランドを活かした働き方はとても遠い存在だし、無名の人が知名度を上げ趣味を仕事にしている人も随分増えたが、多くの人はプロセスの見えにくさと成功イメージが湧きにくいために、なかなかチャレンジできていない。

華やかなコンサルティング集団・エンジニア集団を作る必要は無い。企業が困りそうな夜間の保守を請け負う集団、XX業界出身者によるXX業界営業代行集団、そういう企業ニーズと自分のスキルを重ねたところをビジネスにしていけばよいのだ。

副業・複業が少しずつ広がっていく一方で、キャリアの不安は増々高まっている。副業の先には、チームで戦う働き方に注目が集まり、その形として合同会社が選択されていくのではないだろうか。